魚突き・スピアフィッシング入門 道具の選び方 モリ編

手銛本舗の銛

私は10年以上魚突きを続けてきました。はじめは釣具屋に売っている竹ヤスから始め、沢山の種類の銛を使ってきました。これらの経験をもとに私の知識を総動員して説明をしていきます。また、商品のリンクはこれを買っておけば間違いないと思うものだけをピックアップしています。

モリの種類

本体素材の種類

竹(竹ヤス)

釣具屋などで、ゴム/モリ先とセットで売っており、大抵の場合、部品交換は考慮されていません。初めはこれを購入してみることをお勧めします。 安く買うことができるし、長さも1mくらいのものが基本なので、取り回しが簡単。岩の穴に隠れた小型のハタやアイナメなどの根魚を突く時には、最強を誇ります。 また、竹は軽い為、付属の弱いゴムを使っても、ある程度の初速があります。 本体の長さとゴムの強さから、 射程距離は極めて短いという特徴もあります。 魚を突くためには逃げられないようゆっくりとギリギリまで近づく必要があり、高い潜水能力が求められます。これにより、竹ヤスを使い続けることは、スキルアップにもつながります。

狙える獲物
  • 小型の根魚
  • メバル
  • カワハギ
  • カニ類
  • などなど
コスト

1000円程度

耐久性

付属のモリ先やゴムが1ダイブ~5ダイブ程度で壊れます。

お勧め商品

アルミ

アルミモリはそこまで高価でなく、竹ヤスと違い、各部品の取り替えが可能な為、汎用性がグッと高くなります。 継ぐ本数も自由に変えられる為、海の透明度/狙う獲物に合わせて長さを変えることもできます。 注意点としては、各パーツの接合部はネジ式であることが多いので、海水につけたまま放置してしまうと、塩が固着しネジが回らなくなってしまいます。長く使いたい場合は、こまめに取り外して、洗うようにしましょう。私が使っているアルミモリは10年選手ですが、いまだに現役で、一緒に新婚旅行でタヒチにも行きました。

アルミ銛

 

狙える獲物

回遊魚/巨大なハタ以外であれば、どんな魚でも狙えます。

コスト

8000~13000円程度

耐久性

手入れをしていれば10年以上

お勧め商品

カーボン

最終的にはここにたどり着くと思います。丈夫で軽い。全長5mにもなるものもあります。アルミモリ同様に各パーツを取り換え可能だが、最近は規格が少し違う中国製も増えてきています。やはり、日本製がお勧めで、日本製ではモリ先の接合がM6のネジ式であるものがほとんどなので、こちらをお勧めします。

私が使っている「手銛本舗」のモリは9年近く使っていますが、いまだに現役です。また、手銛本舗は購入後もサポートがとても手厚いです。岩場を歩いているときに体制を崩し、銛の上に乗りかかり、折ってしまったことがありました。問い合わせをしたところ、修理してくれると同時に、折れていないパーツも送ってくれとのこと。修理後に組み立てた状態で、軸を合わせる為だそうです。

手銛本舗の銛

 

狙える獲物

カサゴからマグロまで

コスト

2万~10万を超えるものもあります

耐久性

巨大魚にへし折られない限り何年でも使い続けられます。

お勧め商品

手銛本舗の銛がお勧めです。いろいろな仕様の物が出品されており、全て一点物です。仕様を確認して購入しましょう。

モリ先の種類

〇本又

三本又とか五本又といったものがあります。足は多いほうが、小さい魚にもヒットし易くなります。これらは竹ヤスに付属のもので、鉄+塗装でできているので耐久性は極めて低く、岩を突いたら、先端が曲がったり、折れたり、塗装が剥がれたりします。塗装が剥がれたところから錆びが始まります。どうしても長く使いたい場合は、「絶対に岩を突かない」事が重要となります。返しがそこそこしっかりついているので、小さい獲物は、突いた後外すときにグチョグチョになってしまうこともあります。

狙える獲物

30cmくらいまでの獲物

潜水能力が高く、抑えができる場合は、もっと大きい獲物も獲れるかもしれません。

コスト

1000円程度の竹ヤスに付属

耐久性

1~5ダイブ

トライデント

通称ヒラメ突き用。先端だけで購入が可能で、足も3本なので、初心者でもヒットはしやすい仕様。骨太なうえに、返しはいかつい為、突いた獲物は必ずグチョグチョになります。 貫通はしにくいので、大きい魚を突く場合は、「潜って抑える」もしくは「岩肌に押し当てる」ことが必須になり、スキルアップには役立つと思います。

狙える獲物

ヒラメ/50cmくらいまでの魚

コスト

2000円程度

耐久性

岩を突かなければ、数年は使えるでしょう。

お勧め商品

パラライザ

私は使ったことはないが、職人用です。パラライザには返しがありません。これは獲物を回収する時に傷付く事を防ぐための構造です。 突いた魚を売りに出す場合は、傷が価格低下を招くため、パラライザを使う職人が多いようです。 また、岩を突いてしまうようなことがあれば、即使い物にならなくなる為、この観点からも、職人向けと言えるでしょう。

狙える獲物

売りに出すことが目的であることが多い為、ブダイやオジサンなど、容易に突けて美味しい魚が対象となります。

コスト

4000円程度

耐久性

岩を突かなければ、数年は使えるでしょう。

お勧め商品

土佐銛

「丈夫さ」と「バラす可能性が低い」という点で突出している日本伝統のモリ先。本物は鋼でできており、とても固く、相当な勢いで岩を突かない限り曲がることはありません。使用後は丁寧に洗わないと、即錆びだらけになります。二本又と大きな返しが付いている構造上、突いた魚は簡単には逃がしません。反面突いた獲物の回収はかなり困難で、100%身はグチョグチョになります。数年前に職人引退により、製造が終了しているようです。

土佐銛

狙える獲物

ストレスを逃がすスキルがあれば、回遊魚も突けます。

コスト

9000円

耐久性

錆びの管理が出来れば、何年でも使えます。

お勧め商品

本物の土佐銛は製造終了になっていますので、使ったことは無いですが、同じような形状の銛先を紹介します。

ウイング

片羽、両羽の二種類があります。この構造は、魚を突いた後に羽が広がれば、たとえメータークラスのでも身切れ以外でバラすことはありません。この構造上、大きすぎる獲物を突いてしまった場合、シャフトを曲げられたり、銛ごと持って行かれることもあり得るでしょう。羽の手入れがこまめに行われていない場合、魚を突いても、羽が広がらず、バラしてしまう結果となるので、必ず使用後は洗っておくようにしましょう。

狙える獲物

メーター越えも狙えます。

コスト

4000円程度

耐久性

手入れを怠らなければ、何年でも。

お勧め商品

チョッキモリ

最終的には、ここにたどり着くと思います。構造は複雑だが、最強の仕掛けです。回収時に魚につく傷は少なく、身切れ以外でバラすことは無く、単価もそこまで高くない。いざというときにチョッキが押し棒にハマっておらず、初動が遅れることもあり得るが、これ以上の仕掛けはありません。

狙える獲物

10cm以下の小さい獲物以外は全魚が狙える。

コスト

1500~3000円程度

耐久性

材質によるが、岩を突かなければ、何年でも使える。

お勧め商品

チョッキ銛は銛本体に加え、押し棒とチョッキがセットで使います。 銛本体購入時にチョッキ銛のセットを購入することをお勧めします。 交換/予備パーツは以下です。

ゴムの種類

アメゴム

黒ゴムと比較すると、伸び率が高く、劣化しやすい。

お勧め商品

適当なリンクを載せておきます。長さ,太さを関連商品から選んで購入してください。

黒ゴム

アメゴムと比較すると、伸び率が低く、劣化しにくい。

お勧め商品

適当なリンクを載せておきます。長さ,太さを関連商品から選んで購入してください。

ー ゴムの選定学 ー

ゴムの選び方はとても難しく、求められる性能は「初速」「飛距離(モリ先の到達点)」があり、付随して「狙いやすさ」も影響してきます。選択肢には「ゴムの種類」「太さ」「長さ」があります。物理系のエンジニアをやっている管理人でもかなり考えました。根拠を説明しだすと1000文字以上の長文になるので、控えます。到達した結論は以下です。

    • モリの長さの3/5の長さまで伸ばして使う。
    • 握力と腕力の限界で上記長さまで伸ばせるゴム。
    • 伸び率(弾性限界)は高いほど良い。
    • 伸び率(弾性限界)ギリギリまで伸ばして使う。

実際にゴムを選定する場合、以下の様な方法になります。

5mのモリを使用している場合、ゴムを3mまで伸ばして使うことを想定し、手に入る伸び率の最も高いゴム、仮に300パーセントとした場合、通常時1mのゴムを自分の握力と腕力で3mまで伸ばすことが可能な最も太い物を選ぶ。

となります。

これはあくまで、「初速」「飛距離」「狙いやすさ」を優先した場合であり、モリの耐久性が伴っている事を前提としています。アルミモリや、肉薄のカーボンモリを使った場合、ゴムの力に耐えきれず、曲がってしまうことがあり、巻き引き(シャフトに1~2回転巻きつけながらゴムを引く)が必要となることもあります。

特殊な仕掛け

レストタブ

長いモリを使う場合、突如回遊魚が現れた時にモリを手繰り寄せゴムを引いているようでは、チャンスを逃してしまいます。そんな時に使える仕掛けがこのレストタブ。ゴムをある程度引いた状態で固定することができます。長いモリを使う場合は必須の仕掛けです。

お勧め商品

滑り止め

強いゴムを使用する場合、握力や、ゴム手袋の摩擦だけで引いた状態をキープするには、相当の酸素を消費してしまいます。これを回避するために、モリの表面に付け、摩擦を増やすアイテムです。釣りのグリップ用として売られており、スミチューブに使われる様な、火であぶると収縮する特性を利用した仕様になっています。

お勧め商品

適当なリンクを張っておきました。シャフトの太さに合わせ、関連商品から適切な太さを選んでください。

フロートシステム

モリを失わない為。船にひかれない為。サメに襲われない為。などなどいろいろな目的を果たすために使われるフロートシステム。このアイテムはとても奥が深い為、後日特集を組み説明をしたいと思います。

魚突きレベル別お勧めモリ

初心者向け

素潜りスキルアップを高めるためにも、竹ヤスから始めましょう。

海タナゴやカサゴを突くことができてから、次のステップに進むことをお勧めします。

中級者向け

汎用性が高いアルミモリをベースにいろいろな組み合わせで使ってみることをお勧めします。

試行錯誤することでスキルアップ、ノウハウの蓄積につながります。

モリ全長

~2m

素材

アルミモリ

モリ先

  • トライデント
  • 土佐銛
  • ウイング

上級者向け

最終的には、カーボンモリ+チョッキに落ち着くと思います。

職人を目指すのであれば、パラライザを使ってみるのもありですね。

モリ全長

透明度/ターゲットに合わせていかようにも

素材

カーボン

モリ先

  • パラライザ
  • チョッキ
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